ぐうたら村よりたかちゃんです。ちょっとした夏の思い出を書き留めておこうと思います。
ぐうたら村の管理人小屋の玄関先に、5月ごろアシナガバチが巣をつくりました。この場所は玄関に出入りするときに必ず通る場所です。「なんでまたここに…」とため息が出ましたが、案の定管理人のゴリは「あまり気にしないで大丈夫だから」とサラリと言い放ちます。それでまたため息。ひとつ屋根の下に暮らしていても、エコロジカルな視点が、やっぱりわたしとはズレるのです。
長雨だった梅雨には、「ちょっと心配だね。巣がぜんぜん勢いづかない…」とゴリは曇った表情で話しかけてくるのですが、ちょっと心配がズレてやしませんかとこちらは思うわけです。玄関先は近所の方も、お客様も、宅配業者さんも、村長も、いろんな方が通る場所。「みんなこの巣の下を歩くよね?」と言うと、「でも誰のことも刺さないよね」と返ってくる始末…。でも近所のおじいちゃんやおばあちゃんもこの巣の下を通るわけですからね〜、と言い続けていると…。
梅雨明けしたある日のこと、「よし、今日アシナガバチの巣、引っ越しちゃおう!」と言うのです。「え?引っ越し?どういうこと??」というわけで、訳のわからぬままにアシナガバチの巣の引っ越し作業を手伝うことになりました。本人曰く「昔からやってるから大丈夫!」とのこと。ますます謎が深まります…。カップと段ボールで手際よく、母蜂ごとカップに取り入れたかと思うと…
今度はカップの中で、母蜂と巣を分けます。このあたりの手際の良さはさらに謎…
そして別の軒下に巣と母蜂を運び、巣を接着剤でくっつける。
身のこなしが業者っぽい… 。ウーン、やはり謎…
そんなわけで、あれよこれよと言う間に、アシナガバチの巣は新たな軒下にぶら下がり、母蜂の入ったカップをそこで静かに開けると、何もなかったように母蜂は巣の世話に戻っていきました。
まあ日常は、いろいろと思うことはあるのですが、この一連の動きはわたしには初めてのことで、「ごめんね」と殺虫剤などで駆除してしまう文化の中で生きてきたわたしにとっては目からウロコの10分間でした。
後日談として、9月に入りスズメバチにこの巣は襲われ、その様子を見たゴリはなんだか哀しげで、エコロジカルっていう感覚ってなんだかスゴイなと思ったわけです。そして、赤土砂漠だったぐうたら村が、これだけ多種多様な花が咲き、虫が生き、ヘビや鳥や獣が来るようになった種明かしをしてもらったような気がしました。
以上、どこにも出かけず、ずっと管理人夫婦でぐうたら村の野良仕事に精を出してきた2020年の夏の思い出でした。